BtoB展示会出展の完全ガイド【基礎編】メリット・デメリットからROI最大化まで徹底解説
目次
なぜ今、展示会が再注目されているのか

近年、Web広告・SEO・SNSなどオンラインチャネルの多様化により、リード獲得は容易になりました。しかしその一方で、“1リードあたりの価値”は年々希薄化し、商談化率や受注率の低下に課題を感じる企業が増えています。
デジタルマーケティングが成熟する中、「量は獲得できるが質が伴わない」という構造的な問題が顕在化しています。オンライン経由で獲得したリードは、情報収集段階のものが多く、実際の購買意欲や決裁権限が不明確なケースが少なくありません。
特に以下のような課題が顕著です:
・匿名性の高さ:フォーム入力情報だけでは、真の課題やニーズが見えにくい
・検討温度の多様性:今すぐ導入を検討している層から、数年後の参考情報として資料請求した層まで混在
・競合比較の激化:複数社に同時に資料請求するのが当たり前となり、差別化が困難
・BANT情報の不足:Budget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(ニーズ)、Timeframe(導入時期)が不明確
この結果、商談化率は下がり続け、営業部門からは「使えないリードばかり」という声も聞かれるようになりました。
展示会が持つ「対面の力」
こうした背景から、対面でのコミュニケーションによって「質の高いリード」を獲得できる展示会が、BtoBマーケティングにおいて再評価されています。展示会では、来場者の表情や反応を直接確認でき、その場でニーズや予算感、導入時期といったBANT情報をヒアリングできます。デジタルでは得られない「温度感のあるリード」を獲得できる点こそが、展示会の最大の価値なのです。
展示会施策の概要とBtoBマーケティングにおける位置づけ
展示会とは、特定のテーマや業界に関連する企業が一堂に会し、製品・サービスを展示・紹介するイベントです。BtoBマーケティングにおいては、認知拡大からリード獲得、商談創出、既存顧客との関係強化まで、多目的に活用できる統合的な施策として位置づけられます。
展示会の主な目的と期待される成果
BtoB企業が展示会に出展する目的は多岐にわたりますが、主に以下の5つに分類されます。
- 新商品・注力サービスの認知度向上
来場者数の5〜10%程度の名刺・バーコード獲得を目標とし、より多くのターゲットに自社製品を知ってもらう機会として活用します。 - 新規リードの獲得
質の高い見込み顧客情報を効率的に収集し、今後の営業活動の母数を増やします。展示会のリード獲得単価は、Web広告と比較すると高めになることもありますが、商談化率は15〜30%と2〜3倍高いことが特徴です。
新規リードの目安
・リード獲得率:来場者の5〜20%(出展位置/規模により変動)
・商談化率:獲得リードの5〜15%(Web経由は3〜10%)
・新規リード獲得単価:5,000〜20,000円/件(出展位置/規模により変動) - 新規商談の創出
獲得リードの5~15%程度を商談化し、短期的な受注機会を創出します。特に、ブース内で具体的な課題をヒアリングし、BANT情報(予算・決裁権・ニーズ・導入時期)を把握できたリードは、商談化率が40%以上に達することもあります。
成果の目安
・即日商談設定率:5〜10%
・展示会後1ヶ月以内の商談化率:〜15%
・展示会後3ヶ月以内の受注率:5〜15% - 既存顧客との関係強化
主要顧客を招待し、新製品の紹介や情報交換を通じて信頼関係を深めます。既存顧客との接点はアップセル・クロスセルの重要な機会でもあり、顧客維持率(リテンション)の向上にも寄与します。 - 市場ニーズの把握(マーケットリサーチ)
来場者との対話を通じて、市場の課題や求められている機能を直接ヒアリングし、今後の製品開発に活かします。競合ブースの視察も含め、業界動向を肌で感じられる貴重な情報収集の場となります。
収集すべき情報
・顧客の未充足ニーズや新たな課題
・競合製品との比較で指摘される自社の強み・弱み
・価格感や導入障壁に関する生の声
・業界トレンドや今後の市場動向
目的の優先順位づけが成功の鍵
これらの目的を明確にし、優先順位をつけることが展示会成功の第一歩となります。すべてを同時に達成しようとするとリソースが分散し、結果的にどの目的も中途半端になるリスクがあります。
例えば「新製品の認知拡大」を最優先とする場合は、ブースデザインや配布資料、スタッフのトークスクリプトもすべてその目的に最適化すべきです。一方、「既存顧客との関係強化」が主目的なら、VIP顧客向けの特別な体験設計に注力することが重要です。
展示会施策のメリット:なぜ投資する価値があるのか
- 質の高いリードを短期間で大量獲得できる
展示会最大のメリットは、ターゲット層が自ら足を運んでくる「プル型」の集客構造にあります。来場者は何らかの課題や興味を持って会場を訪れているため、オンライン広告経由のリードと比較して商談化率が高い傾向にあります。
具体的な獲得ボリュームのイメージ
例えば来場者数3,000名の展示会で、リード獲得率が10%の場合:
・名刺獲得数:300件
・商談化率10%の場合:30件の商談創出
・受注率30%の場合:9件の成約
これは、Webフォームからの月間獲得数に匹敵するボリュームを、わずか2-3日間で獲得できる計算です。
オンラインとの質の違い
・展示会リード:商談化率5〜15%、受注率10〜20%
・Web広告リード:商談化率3〜10%、受注率~10%
2. BANT情報をその場で確認できる
オンラインでのリード獲得では、予算(Budget)、決裁権(Authority)、ニーズ(Needs)、導入時期(Timeframe)といったBANT情報の取得に時間がかかります。しかし展示会では、対面での会話を通じてこれらの情報をその場で聞き出すことが可能です。部長・役員クラスの来場も多く、通常のテレアポや問い合わせでは接触困難な層と直接会話できる貴重な機会です。
適切なヒアリングシートを用意し、スタッフが統一された質問をすることで、リードの優先度判定を精緻に行えます。これにより、展示会後のフォローアップ効率が劇的に向上します。
3. 製品・サービスの実演とライブデモが可能
BtoB製品は複雑で、Webサイトの説明だけでは価値が伝わりにくいケースが多々あります。展示会では、製品のデモンストレーションや体験型のコンテンツを通じて、製品の価値を直感的に理解してもらえる点が大きな強みです。
来場者が「触って、見て、試す」ことで製品への理解が深まり、購買意欲が高まります。またその場で質問に答えることで、疑問点を即座に解消し、商談へとスムーズにつなげられます。
4. 競合分析とマーケットトレンドの把握
展示会は自社がブースを出すだけでなく、競合他社の展示内容や集客手法、来場者の反応を直接観察できる貴重な機会です。
競合分析で確認すべきポイント
・製品ラインナップと価格戦略:新製品の投入タイミングや価格帯の変化
・ブースデザインと集客手法:どのような見せ方で来場者を引きつけているか
・スタッフの対応と営業トーク:どのような切り口で価値を訴求しているか
・配布資料とノベルティ:どのような情報設計と販促物を用意しているか
・ブース来訪者の反応:どの製品や機能に最も関心が集まっているか
特に競合ブースでの来場者の質問や反応を観察することで、市場が今何を求めているのか、どのような課題に直面しているのかを肌で感じることができます。
5. ブランディングと信頼構築
大規模な展示会への出展は、企業の信頼性や市場でのポジションを示す効果があります。「あの展示会に出展している企業」という認識は、とくに新興企業やスタートアップにとってブランド価値を高める重要な要素となります。
ブランド価値を高める3つの意義
① 第一想起につながる
展示会での印象的な体験は、顧客の記憶に強く残ります。「〇〇の課題があったら、あの会社」という第一想起ポジションを獲得することが、BtoBビジネスでは極めて重要です。
主要な業界展示会に継続的に出展することで、「この分野で本気で事業展開している企業」という認識が定着します。顧客が比較検討や情報収集を始める際、真っ先に思い出してもらえる存在になることで、商談機会そのものを増やすことができます。
② 新規参入企業の信頼獲得
歴史の浅い企業や知名度の低い企業にとって、展示会出展は「実在性」と「本気度」を証明する場となります。
BtoB取引では特に高額商材や長期契約において、「この会社は本当に信頼できるのか?」「数年後もサポートを続けてくれるのか?」という不安が購買の障壁となります。
Webサイトだけでは信用しきれない顧客も、実際にブースで対面し、製品を見て担当者と話すことで安心感を得られます。展示会という「公の場」に堂々と出展していること自体が、企業としての信用力を視覚的に証明することになるのです。
また大手企業が出展する展示会に並んで自社ブースを構えることで、「同じ土俵で勝負できる企業」という印象を与え、心理的な信頼のハードルを下げる効果もあります。
③ メディア露出とPR効果
大規模展示会には業界メディアやプレス、インフルエンサーが多数取材に訪れます。新製品発表や注目技術の展示は記事化やSNS拡散の機会となり、広告費をかけずに認知を広げられます。
ブランディング効果の持続性
展示会での印象は、単発で終わるものではありません。「昨年の〇〇展で見た会社」「あの大きなブースを出していた企業」といった記憶は、その後の営業活動や商談において初対面でも既知感を与える「ウォームスタート」を可能にします。
展示会施策のデメリット:見落としがちなリスクと課題
- 初期投資とコストの高さ
展示会出展には、小間代、ブース装飾費、ノベルティ制作費、人件費、交通宿泊費など、多額の初期投資が必要です。例えば、中規模展示会でも総額500〜1,000万円程度の予算が必要になることも珍しくありません。
【費用内訳の実例】 以下は1小間(3m×6m)出展の標準的な費用例です
| 項目 | 金額(税抜) |
| 小間代(出展料) | 530,000 |
| ブース施工費 | 700,000 |
| ノベルティ費 | 45,000 |
| 配送・輸送費 | 20,000 |
| 宿泊費(2泊×3名) | 66,000 |
| 交通費(往復) | 6,000 |
| その他(雑費) | 20,000 |
| 合計 | 約139万円 |
※これに加えて、パンフレット制作費(10〜30万円)、電気回線費(15~30万円)などが発生する場合もあります。この投資に見合ったリターンを得られなければ、経営層からの評価は厳しいものになります。そのため、事前のROI設計が極めて重要です。
コスト削減のポイント

限られた予算で最大の効果を得るために、以下の項目でコストを抑えることが可能です。
① 出展費用の早期割引活用
・早期申込割引(早割):展示会の6ヶ月〜1年前に申し込むことで、10〜20%の割引が適用されることが多い
・複数回出展契約:年間複数展示会への出展を一括契約すると、さらに割引が受けられる場合がある
・リピーター割引:前年出展実績がある場合、5〜10%の割引が適用される展示会も
② ブース施工費の最適化
・システム部材の活用:木工ブースではなく、再利用可能なシステム部材(パネル組み立て式)を選ぶことで、30〜50%のコスト削減が可能
・同じ施工会社に継続依頼:関係構築により、2回目以降はデザイン費や設営費の割引交渉がしやすくなる
・自社での部材保管・再利用:看板やパネル、什器などを自社で保管し、次回展示会でも使用する
③ 施工会社選定時の注意事項
・相見積もりは必須:最低3社から見積もりを取り、内訳を詳細に比較
・自社工場を持つ施工専門会社を優先:広告代理店経由だと中間マージンが発生するため、直接施工会社に依頼する方が安価
・実績確認:同じ展示会場での施工経験があるか、同業種の支援実績があるかを確認
・見積もり内訳の透明性:「一式」表記ではなく、項目ごとに明細が記載されている会社を選ぶ
2. 準備工数とリソースの集中投下
展示会の成功には、半年〜数ヶ月前からの綿密な準備が欠かせません。ブース設計、ノベルティ選定、スタッフ教育、事前集客、ヒアリングシート作成など、膨大な準備作業がマーケティング担当者に集中します。
展示会前に準備すること
6か月前
| ✅ 出展目的・目標の明確化(リード獲得数、商談化率、受注目標など) |
| ✅ 予算設定と社内承認取得 |
| ✅ 出展する展示会の選定と早期申込(早割適用のため) |
| ✅ ブース施工会社の選定と初回打ち合わせ |
3〜4ヶ月前
| ✅ ブースデザインの最終決定と施工契約 |
| ✅ 展示製品・デモ内容の決定 |
| ✅ ノベルティ・配布資料の企画と発注 |
| ✅ ヒアリングシート・アンケートの設計 |
| ✅ 専用Webサイトや事前告知LPの制作 |
2ヶ月前
| ✅ スタッフアサイン(営業・マーケ・技術担当など) |
| ✅ トークスクリプト作成と事前勉強会の実施 |
| ✅ 事前集客施策の開始(既存顧客への招待状送付、メルマガ配信など) |
| ✅ CRM/MAツールへのリード取り込み設定 |
1ヶ月前
| ✅ ロールプレイング研修の実施(KPIの目線合わせ) |
| ✅ 配布資料・ノベルティの最終チェック |
| ✅ 展示製品の動作確認とデモリハーサル |
| ✅ 当日のシフト表・役割分担の確定 |
1週間前
| ✅ 搬入・搬出の最終確認 |
| ✅ スタッフへの最終ブリーフィング |
| ✅ 緊急連絡体制の構築 |
また会期中はスタッフを現場に張り付けにする必要があり、通常業務への影響も考慮しなければなりません。3日間の展示会であれば、準備・本番・撤収で最低でも5〜7営業日が拘束されることになります。
3. 成果が属人的になりやすい
展示会での成果は、ブースで対応するスタッフのスキルに大きく左右されます。経験豊富な営業担当者が対応すれば質の高いヒアリングができますが、経験の浅いメンバーでは見込み客を取りこぼすリスクがあります。
そのため、トークスクリプトやヒアリングシートの整備、事前のロールプレイング実施など、属人性を排除する仕組み作りが必要です。
属人化を解消する具体的ステップ
ステップ1:トークスクリプトの作成
・基本の流れを標準化:アイスブレイク → ニーズヒアリング → BANT確認 → 次のアクション合意
・シーン別の対応例を用意:「予算がないと言われたら」「競合製品を使っていると言われたら」などのFAQ集
・NGワードのリスト化:「お忙しいところすみません」など、ネガティブな印象を与える表現を排除
ステップ2:ヒアリングシートの統一
・前述のBANT情報を確実に取得できるフォーマットを全員で共有
・チェックボックス形式で記入しやすく設計
・デジタルツール(タブレット・CRM連携アプリ)で入力を効率化
ステップ3:ロールプレイング研修の実施
・展示会の1〜2週間前に、実際のブースを想定した模擬対応を実施
・「関心度が高い来場者」「冷やかし客」「競合情報を探る来場者」など、複数パターンを練習
・ベテランのトーク内容を録画し、チーム全体で共有・学習
ステップ4:リアルタイムフィードバック体制
・展示会当日、経験豊富なメンバーが若手の対応を観察し、休憩時間に即座にアドバイス
・良かった対応例を朝礼・夕礼で共有し、チーム全体のレベルアップを図る
ステップ5:振り返りとナレッジ化
・展示会後、各スタッフが「うまくいった対応」「困った質問」を共有
・次回展示会のためのナレッジベースとして蓄積
このような仕組み作りにより、誰が対応しても一定水準以上の成果を出せる体制を構築できます。
4. フォローアップ体制が整っていないと成果につながらない
展示会で名刺を大量に獲得しても、その後のフォローアップが不十分では商談化しません。実際、獲得したリードの多くは放置されてしまうというケースが後を絶ちません。
展示会後すぐに御礼メール送付、電話フォロー、セミナー案内など、段階的なナーチャリング施策を実施する体制を整えておかなければ、展示会への投資は無駄になります。
5. 情報収集目的の来場者も多い
展示会来場者の約75%は「情報収集や業界トレンドの把握」が目的であり、すぐに商談化する見込みは低いという調査結果もあります。そのため短期的なROIだけを追求すると、成果が見えにくくなります。
中長期的な視点でのリードナーチャリングを前提とした設計が必要です。
ROIを合わせるために必要な3つのステップ
展示会施策のメリット・デメリットを踏まえた上で、投資対効果を最大化するには、以下の3ステップが不可欠です。
ステップ1:事前目標設定 ー何のために出展するのかを明確化するー
まず、展示会出展の目的を明確にします。認知拡大なのか、リード獲得なのか、商談創出なのか。目的が曖昧なまま出展すると、施策の方向性がぶれ、成果測定も困難になります。
目的を決めたら、それに応じた指標(KPI)を設定します。例えばリード獲得が目的なら「名刺獲得数」、商談創出が目的なら「BANT情報を取得できたリード数」や「会期後アポ獲得数」といった形です。
目的別KPI設定例
| 出展目的 | 主要KPI(重要指標) | 補助KPI(参考指標) |
| 認知拡大・ブランディング | ・ブース来訪数 ・資料配布数 ・メディア掲載数 ・SNS言及数/インプレッション数 | ・プレスリリース経由の問い合わせ数 ・展示会後のWeb検索数増加率 ・ブランド認知度調査結果 |
| 新規リード獲得 | ・名刺獲得数 ・有効リード(BANT情報取得済み) ・リード獲得単価(CPL) | ・ブース滞在時間 ・デモ体験者数 ・アンケート回答率 |
| 商談・受注創出 | ・商談化数 ・商談化率 ・会期中アポ獲得数 ・パイプライン創出額 | ・決済権者との接触数 ・具体的な導入時期が確定したリード数 ・見積依頼数 |
| 既存顧客との関係強化 | ・既存顧客来訪数 ・アップセル・クロスセル提案数 ・顧客満足度スコア | ・VIP顧客との面談時間 ・新製品への関心度 ・次回商談設定数 |
| 市場調査・競合分析 | ・競合ブース視察数 ・来場者数ヒアリング件数 ・収集した市場インサイト数 | ・新技術トレンドの発見数 ・顧客ニーズの新発見数 ・製品開発へのフィードバック数 |
KPI設定のポイント
① SMART原則に基づく目標設定
・Specific(具体的):「たくさん集める」ではなく「300件獲得」
・Measurable(測定可能):数値化できる指標を選ぶ
・Achievable(達成可能):過去実績や業界平均から現実的な目標を設定
・Relevant(関連性):事業目標と連動した指標を選ぶ
・Time-bound(期限明確):「展示会後1週間以内」「3ヶ月以内」など期限を設定
② 段階別KPIの設定
・即時成果(展示会当日〜1週間):名刺獲得数、ホットリード数、即日商談設定数
・短期成果(1ヶ月以内):商談化数、商談化率、初回提案実施数
・中長期成果(3〜6ヶ月):受注数、受注金額、顧客生涯価値(LTV)
③ 過去実績との比較
・初回出展の場合は業界平均を参考に、2回目以降は前回実績との比較で改善度を測定します。
例えば:
・前回:商談化率15% → 今回目標:20%(5ポイント改善)
・前回:名刺獲得300件 → 今回目標:500件(約67%増)
ステップ2:展示会期間中の実行とリアルタイムPDCA
目標を設定したら、展示会期間中も日々振り返りを行い、改善を重ねます。これが「リアルタイムPDCA」です。
リアルタイムPDCAの実践例
初日終了後のミーティング(17:30〜18:00)
・Check(検証):初日の成果を速報で確認
・リード獲得数:目標100件に対して80件(達成率80%)
・商談獲得数:目標10件に対して5件(達成率50%)
・分析:何がうまくいき、何が課題だったか
・✅ 良かった点:デモ体験が好評で、体験者の7割が名刺交換
・❌ 課題:通路からの引き込みが弱く、素通りされるケースが多い
・Action(改善策):2日目に向けた具体的な対策
・通路に面した場所にスタッフを配置し、積極的な声かけを実施
・キャッチコピーを「AI活用事例」から「製造業特化AI」に変更し、ターゲットを明確化
・デモ体験の待ち時間を短縮するため、2台体制に変更
リアルタイムPDCAを成功させるコツ
・短時間で実施:疲労が蓄積する展示会期間中は、30分以内の簡潔なミーティングに
・数値ベースで議論:感覚ではなく、実際の数字を見て判断
・即実行できる改善に絞る:翌日すぐに試せる施策に焦点を当てる
・スタッフ全員で共有:改善策を全員が理解し、統一した対応をとる
ステップ3:展示会後の効果測定と次回への改善
展示会が終わったら、必ず振り返りを行い、次回出展に向けた改善点を明文化します。これを怠ると、毎回同じ失敗を繰り返すことになります。
展示会後の効果測定ステップ
① 定量評価:ROIの算出
展示会のROI(投資対効果)は、以下の計算式で求めます
ROI(%)= (得られた利益 − 展示会総費用)÷ 展示会総費用 × 100
具体例:
・展示会総費用:136万円
・獲得リード数:300件
・商談化数:30件(商談化率10%)
・受注数:9件(受注率30%)
・平均受注単価:300万円
・受注金額合計:2700万円
・粗利率:40%(利益1080万円)
ROI = (1080万円 − 136万円)÷ 136万円 × 100 = 694%
この場合、展示会への投資136万円に対して、944万円の利益が生まれたことになり、ROI 694%は大成功と言えます。
その他指標:
・CPL(リード獲得単価):136万円 ÷ 300件 = 約4,533円/件
・商談獲得単価:136万円 ÷ 30件 = 約45,333円/件
・CAC(顧客獲得単価):136万円 ÷ 9件 = 約151,111円/件
・LTV/CAC比率:顧客生涯価値が300万円の場合、300万円 ÷ 15.1万円 = 約20倍(非常に健全な水準)
まとめ
展示会は「戦略的投資」として設計すべし
展示会施策は多額のコストと工数がかかる一方で、質の高いリードを短期間で大量獲得できる、BtoBマーケティングにおける有力な手段です。デジタル疲れが叫ばれる今だからこそ、対面でのコミュニケーションによる信頼構築と深い関係性の構築が、競争優位性を生み出します。
展示会出展に不安を感じる方も多いかもしれません。そんな場合は、まず小規模な地方展示会や業界特化型の専門展から始めるのも一つの手です。小さな投資でPDCAを回し、ノウハウを蓄積してから大規模展示会に挑戦するというステップアップ戦略も有効です。
また、共同出展という選択肢もあります。複数社で1つのブースを共有することで、コストを抑えながら展示会の効果を体感できます。
Growth DXでは、BtoBマーケティングの戦略立案から施策設計、実行支援までを一気通貫でサポートできる点を強みとしております。
業種やビジネスモデルごとの収益構造や購買プロセスを踏まえ、最適なアプローチをご提案することが可能です。
展示会に関しても、リード創出からアフターフォローまで多数のご支援実績がございます。
マーケティング活動において課題やお悩みをお持ちでしたら、ぜひお気軽にご相談いただければ幸いでござます。
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