BDR(プッシュ型営業活動)施策はなぜ上手くいかない?? ケース別最適な営業施策を解説

BtoB事業の事業成長に必要不可欠な商談獲得ですが、商談獲得数を伸ばすための手段として「BDR(プッシュ型営業施策)施策 ※以降はBDR施策のみと表記)」がございます。
BDRはよくアウトソーシングもされる領域ではございますが、多くの会社様が取り組んでは上手くいかない、といった状況になっております。
今回は、BDR施策はなぜ上手くいかないのか、またどのようなケースに上手くいくのか、などを200社以上のご支援実績に基づき解説します。
是非、BDRを取り組む前に一度参照ください。
目次
1.なぜ今「BDR施策」が注目されているのか
ここ数年、BtoB営業における商談創出の手法は大きな変化を遂げています。
従来は展示会、セミナー、テレアポといったチャネルが主流でしたが、コロナ禍を経てデジタル化が急速に進行し、オンラインセミナー(ウェビナー)、コンテンツマーケティング、SNS広告などのインバウンド施策が急増しました。
しかし、インバウンド施策だけでは限界があります。
- リードの質が安定しない
- 顕在層に偏り、将来の見込み顧客を取りこぼす
- 特定市場では競合も同じチャネルを活用しており、差別化が難しい
そこで再び注目されているのが、BDR(Business Development Representative)によるアウトバウンド営業です。
BDRは、「まだ課題を自覚していない企業」「検討初期段階の企業」に対して戦略的かつ継続的にアプローチし、商談化へとつなげます。
特に、単価が高く意思決定プロセスが複雑なエンタープライズ市場では、このアプローチが極めて有効です。
とはいえ、全ての企業がBDRで成果を出せるわけではありません。むしろ、間違ったやり方や市場設定によって成果が出ず、撤退してしまうケースが多く見られます。
2. BDRがうまくいかない主な原因(ケース別解説)
BDR施策が失敗に終わる理由は、多くの場合**「対象市場の誤り」「リソースの不一致」「営業フローの混同/期待値・KPI設計のミス」**に集約されます。
2-1. ターゲットの設定ミス
最も多い失敗は、SMB市場にBDRを投入してしまうケースです。
この市場では、インバウンドやSDRの方が効率的で、BDRのコストに見合うだけのLTV(顧客生涯価値)を回収できないことが多いのです。
例
・年間契約単価が100万以下
・決裁プロセスが短く、検討期間が数週間〜1ヶ月程度
・担当者が複数回の接触を嫌う傾向がある
こうした条件下でBDRを実施すると、アプローチコストがかさむ一方で成約率が低く、ROIがマイナスになりがちです。
一方、エンタープライズ市場では検討期間が6ヶ月〜1年に及ぶことも珍しくなく、キーマンが複数名存在するため、BDRの価値が最大限発揮されます。
2-2. 施策とリソースの不一致
BDRは単なるテレアポではありません。
必要なのは業界知見+高いビジネス理解+戦略的アプローチ力です。
- インサイドセールス担当者が若手1〜2名だけ
- FS(フィールドセールス)がBDR経験なし
- 業界特有の課題や商習慣を理解していない
このような状態では、意思決定者との信頼関係構築に時間がかかり、結局商談化できないまま終わってしまいます
特に近年、前述の通りBDRは基本MID〜エンプラ向けの開拓にマッチする試作であるにも関わらず、
BDR施策を低単価の営業代行会社へ依頼し、結果ジュニアクラスの「アルバイト」や「フルリモートのフリーランス」などがテレアポなどを実施するなどの問題も発生しております。
上記のような施策を実施すると、決まって上手くいかず、レピュテーションリスクを高めるのみの活動となってしまいます。
また、同様に受注までのプロセスを担当するFSの担当がエンプラセールスに慣れていない/経験がないケースも多いです。
BDR施策は、受注までにより多くのステークホルダーとの合意形成を進めるスキルが求められる中で、その経験がないメンバーがFSを担当し、結果受注に至らないというケースが散見されます。
2-3. 営業フローのSDRとの混同/期待値・KPI設計のミス
SDR(Sales Development Representative)は、インバウンドリードを素早く商談化する役割です。
一方、BDRは潜在層を顕在化させる長期戦。
両者を混同すると、BDRが短期成果を求められすぎる、あるいはSDRが長期フォローを求められて効率が落ちる、という問題が発生します。
例
・BDRに即商談化のKPIを設定 → 接触回数が減り、関係構築不足
・SDRに長期育成リストを持たせる → 新規反響対応が遅れ、機会損失
BDR施策においては、求めることができる期待値は下記のようなケースが多く、こちらから逸脱した期待値やKPIを設計した場合、結果うまくいかなかったと評価されてしまうケースは多いです。
項目 | SDR | BDR 改善余地ありパターン | BDR 上手くいっているパターン |
初回商談⇨2次商談 | 30~50% | 20%前後 | 30%前後 |
2次商談⇨受注 | 25~40% | 20~30% | 30~40% |
初回商談⇨受注 | 10~20% | 4~6% | 9~12% |
リードタイム | 1~2ヶ月 | 6~12ヶ月 | 3~6ヶ月 |
3. ケース別・最適な営業施策の選び方
前述の原因を踏まえた上で、狙いたいペルソナに合わせた施策選定が非常に重要であり、闇雲に商談獲得数を伸ばす=BDRを実施してしまうと、結果として成果につながらないケースが非常に多くなります。
下記に記載のように、対象のペルソナに合わせて最適な戦略/施策を選択することが、事業成長において非常に重要な一手になります。
市場区分 | 最適施策 | 特徴 |
---|---|---|
SMB(+MID) | SDR+MA+コンテンツ | 短期成果重視、反響リード対応 |
エンタープライズ(+MID) | BDR+アカウント戦略+FS専任 | 長期関係構築、複数キーマン開拓 |
特殊市場(公共など) | 展示会×ABM×BDR | 特定業界イベントと連動 |
4. エンプラ向けBDR成功のための3つの要件
4-1. BDR専門/エンプラ専門FSの専任化
エンプラ開拓では、業界特有の意思決定プロセスを理解しているFSの存在が不可欠です。
専任化することでアカウントごとの戦略立案と提案品質が飛躍的に向上します。
選任FSを置くことにより、BDRチームとの意思疎通も取りやすくなり、受注率向上へ向けたコミュニケーションも生まれやすくなるため、BDR施策を実施する際は「必ず」といって良いほど選任FSのアサインは欠かせない施策となります。
4-2. BDRとSDRのフロー/KPIを分ける
BDR施策成功のためにはプロセスとKPIを分ける必要があります。
また、KPIに関しては経営層との合意も必要不可欠です。
それをせずにBDR施策を実施すると、結果として経営層目線は数字だけの評価をし、BDRは短期的にはパフォーマンスが悪く評価される可能性が高いためです。
フロー例
・BDR:課題仮説検証 → 関係構築 → 複数回接触 → 商談化
・SDR:反響リード即対応 → 商談設定 → FS引き渡し
KPIについて、BDR施策において下記をKPIに置くと非常に効果的です。
KPI例
・対象アカウント数
→狙いたい企業数
・対象アカウントに対するキーマンリードカバレッジ率/数
→対象アカウントから、アウトバウンド型の施策により、どの程度キーマンと接点を作ることができたのかを測る指標
・商談化数/率
→商談獲得数/率
・案件化数/率
→30%が案件化していると非常に高い水準と言えるでしょう。
KPI、評価基準、シナリオ設計を完全に分離することが成功の鍵です。
4-3. 高速PDCAと訴求の型化
訴求テーマ、接触チャネル、メール文面、架電トークを継続的に改善する必要があります。
成果の出たパターンはドキュメント化し、チーム全体に展開します。
上記を通じて、会社内のBDRナレッジを蓄積することが可能になります。
5. Growth DXが支援するエンプラ向けBDR施策の特徴
ここで、弊社(Growth DX社)のご紹介もさせてください。
弊社は、BtoBセールスマーケティング支援を提供している会社になります。
累計200社以上のご支援をさせていただいており、BDR施策も多くのご支援実績がございます。
自社にBDR施策が適しているのか、また適している場合自社内で実施できるのかどうか、などにご不安がございましたら是非ご相談くださいませ。
参考サービスページ:https://growth-dx.com/solutions/abm/
事例
①うるる様:https://growth-dx.com/casestudy/uluru_seikouzirei/
②日清食品ホールディングス様:https://growth-dx.com/casestudy/nissin-com-jp-_seikouzirei/
③Hakobune様(住友商事様):https://growth-dx.com/casestudy/hakobune-jp-com_seikouzirei/
BDR施策を成功させるために必要な、下記をもとに、皆様の事業成長にご貢献いたします。
①品質の高い人材リソース
②マルチチャネルのアプローチナレッジ
③豊富なデータ量
6. まとめ
今回は、多くの企業様が取り組み、かつ失敗も多く生まれているBDR施策にフォーカスして、なぜ失敗するのかを解説させていただきました。
BDR施策を成功させるには、「適切なペルソナ設計」「社内の営業フロー整備」「適切なリソースのアサイン」「正しいKPI設計」が非常に重要ということを、改めて最後にお伝えさせてください。
また、BDR施策に関するお困りごとがございましたら、是非お問い合わせいただければと思います。