深耕営業とは?既存顧客の売上を拡大する進め方5ステップと成功ポイント
「新規開拓だけでは売上目標に届かない」「アカウントプランを作っても現場で使われていない」「アップセル・クロスセルが担当者任せになっている」。営業部門長やカスタマーサクセス責任者の方から、こうしたご相談を多くいただきます。
新規顧客の獲得コストが上がるなか、BtoB企業の成長は既存顧客の売上をどれだけ伸ばせるかに左右されるようになっています。本記事では、深耕営業の基本から成果が出ない原因、具体的な進め方5ステップ、組織として仕組み化するポイントまでを、Growth DXの支援の視点を交えて解説します。
深耕営業とは?新規開拓・ルート営業との違い
深耕営業の意味
深耕営業(しんこうえいぎょう)とは、既存顧客との関係を深め、取引の範囲や金額を広げていく営業活動です。目的は1社当たりの売上、つまり顧客内シェアを高めることにあります。主な手段は次の3つです。
- アップセル:上位プランや追加ライセンスの提案
- クロスセル:関連する別商材の提案
- 横展開:同じ企業の別部署やグループ会社への導入
既存顧客を担当する営業のうち、定期訪問や受発注対応で関係を維持するのがルート営業、潜在ニーズを掘り起こして取引を広げにいくのが深耕営業です。重要顧客を中長期で育てるアカウントマネジメントの考え方を、日々の営業活動に落とし込んだものともいえます。
| 比較項目 | 新規開拓営業 | 深耕営業 |
|---|---|---|
| 目的 | 新しい取引先の獲得 | 既存顧客との取引拡大・LTV向上 |
| 重視する指標 | 商談数、受注件数、CAC | 顧客単価、NRR(売上継続率)、解約率 |
| 成果が出るまでの期間 | 短期〜中期 | 中長期 |
| 受注確度 | 低め | 高め |
深耕営業が注目される背景
一般に「新規顧客の獲得には既存顧客の維持の5倍のコストがかかる(1:5の法則)」「売上の8割は上位2割の顧客がもたらす(パレートの法則)」と言われます。加えて、サブスクリプション型ビジネスの広がりでNRRが成長の指標になったこと、営業人材の採用が難しくなったことから、限られたリソースで収益を伸ばせる深耕営業への関心が高まっています。
深耕営業で成果が出ない5つの原因
「御用聞き営業」にとどまっている
依頼に応えるだけでは関係は保てても、取引は広がりません。顧客の事業課題に踏み込んだ仮説がないため、提案のきっかけを失います。
アカウントプランが形骸化している
期初に作ったプランが更新されず、作ること自体が目的になっている状態です。Growth DXの視点:形骸化するプランは、項目が多すぎて更新が負担になっているか、営業会議で使われていないかのどちらかであることがほとんどです。項目を絞り、会議の議題に組み込むことが先決です。
属人化していて再現性がない
成果を上げる担当者のやり方が共有されず、異動や退職のたびに顧客との関係がリセットされます。
ポテンシャルを見ずにリソースを配分している
現在の売上規模だけで重点顧客を決めると、取引が頭打ちの顧客に工数をかけ、伸びしろの大きい顧客や休眠顧客を見落とします。
営業とCSで顧客情報が分断されている
契約後の利用状況や満足度が営業に届かず、アップセルの好機や解約の予兆を逃します。Growth DXの視点:拡大の機会に最初に気づくのは、日常的に顧客と接するCSであることが多いため、CSから営業へ機会を引き渡すルールを決めておくことが重要です。
▼自社の深耕営業チェックリスト
☐ 既存顧客ごとの拡大余地を数値で把握していない
☐ 重点顧客のアカウントプランが3か月以上更新されていない
☐ 顧客企業の意思決定者と直接の接点がない
☐ アップセル・クロスセルの提案時期が担当者の勘に任されている
☐ 営業とCSで顧客の利用状況が共有されていない
☐ 既存顧客向けのKPIが売上しかない
既存顧客の売上を拡大する深耕営業の進め方5ステップ

STEP1:既存顧客データを整理し、ポテンシャルを分析する
CRMやSFA、請求データに散らばった取引履歴・契約内容・利用状況を一覧にし、現在の売上と、企業規模・事業部数・未導入領域などから推定したポテンシャルの2軸で顧客を分類します。

| ポテンシャル:高 | ポテンシャル:低 | |
|---|---|---|
| 現在売上:高 | 重点深耕:アカウントプランを作り、経営層まで関係を築く | 維持:満足度を保ち、競合への切り替えを防ぐ |
| 現在売上:低 | 育成・攻略:横展開やクロスセルを狙う | 効率対応:インサイドセールスやメールで接点を保つ |
STEP2:重点アカウントを選び、アカウントプランを作る
重点深耕と育成・攻略の顧客から対象を選び、次の項目をA4一枚程度にまとめます。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 顧客の事業戦略 | 中期経営計画、重点施策 |
| 組織と意思決定者 | 決裁ルート、キーマン |
| 未開拓領域 | 未導入の部署・商材・グループ会社 |
| 課題仮説 | 顧客が抱えていると想定される課題 |
| 目標とアクション | 売上目標、誰が・いつ・何をするか |
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STEP3:リレーションマップで接点を広げる
窓口担当者1人に頼らず、意思決定者・影響者・利用者との関係と接点の有無を図にします。自社側も営業・CS・役員で分担し、部門長や経営層との接点を計画的につくります。担当者の異動に備えられるうえ、別部署への横展開の足がかりにもなります。

STEP4:課題仮説に基づいてアップセル・クロスセルを提案する
「導入効果の確認、次の課題の特定、解決策の提案」の順で提案を組み立てます。提案の時期を担当者の勘に任せないよう、きっかけを型として決めておきます。
| きっかけ | 提案の方向性 |
|---|---|
| 利用量が上限に近い | 上位プラン・追加ライセンス |
| 他部署からの問い合わせ | 横展開 |
| 組織変更・新規事業 | 関連商材のクロスセル |
| 契約更新の3か月前 | 成果報告と合わせた拡張提案 |
STEP5:QBRで成果を振り返り、次の計画につなげる
四半期ごとにQBR(四半期ビジネスレビュー)を開き、導入成果の振り返りと次の目標のすり合わせを顧客と行います。利用状況やヘルススコアを定期的に確認すれば、解約の予兆にも早く気づけます。
深耕営業を仕組み化する4つの成功ポイント
営業・CS・営業企画の役割分担を決める
| 役割 | 主な責任範囲 |
|---|---|
| フィールドセールス | 重点アカウントの攻略、拡大商談 |
| カスタマーサクセス | 活用支援、ヘルススコア管理、拡大機会の発見 |
| インサイドセールス | 中小規模顧客・休眠顧客のフォロー |
| 営業企画 | ポテンシャル分析、KPI設計、ツール整備 |
KPIを設計し、SFA・CRMで見える化する
目標が売上だけでは、途中の活動の良し悪しがわかりません。KGIをNRRや既存顧客売上の成長率に置き、アカウントプラン更新率、キーマン接点数、QBR実施率、拡大商談数をプロセスKPIとしてSFA・CRMで管理します。プロセスKPIを評価制度にも反映させると、中長期の関係づくりに取り組みやすくなります。
「売れる型」を標準化して定着させる
成果を上げる担当者のヒアリング項目、提案のきっかけ、提案資料を型にまとめ、研修や商談レビューで定着させます。属人化をなくし、誰が担当しても同じ水準で提案できる状態を目指します。
重点顧客に絞って小さく始める
最初から全顧客を対象にせず、重点アカウント数社に絞って試し、成果と学びをもとに型を直してから対象を広げます。
Growth DXの支援事例
既存顧客の別部門へのクロスセル商談化率が3.5倍に|大手精密機械メーカー
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業 | 精密機械メーカー(売上高1,500億円以上) |
| 支援前の課題 | 膨大な顧客基盤を持ちながら、既存営業が担当者個人の関係性に頼っており、同じ顧客の別部門へのクロスセルが進まない構造になっていた |
| 実施した施策 | 製品の利用データをもとに、どの顧客に拡大余地があるかを点数で判断する基準を策定。顧客の課題を深掘りする提案プレイブックをAIを使って設計し、専門人材による能動的な提案を徹底した |
| 成果 | 既存顧客からのクロスセル商談化率が3.5倍に向上し、眠っていた既存アカウントから数億円規模の新たな商談パイプラインを創出 |
よくある質問
アップセルとクロスセルはどちらから始めるべきですか?
導入効果が確認できている顧客へのアップセルから始めると成果につながりやすい傾向があります。クロスセルは、顧客の新しい課題が明確になった段階で提案すると受け入れられやすくなります。
どの既存顧客から始めればよいですか?
現在の売上とポテンシャルの掛け合わせで判断します。どちらも高い顧客を優先するのが基本です。
深耕営業は営業とCSのどちらが担うべきですか?
商材や組織によりますが、CSが拡大の機会を見つけ、営業が提案と受注を担う分担が一般的です。大切なのは、機会の引き渡しルールを明確にすることです。
成果が出るまでどのくらいかかりますか?
顧客の予算サイクルに左右されるため、一定の期間を見込む必要があります。途中経過はプロセスKPIで評価し、取り組みを止めないことが大切です。
まとめ:深耕営業の仕組み化はGrowth DXにご相談ください
深耕営業は、ポテンシャル分析、アカウントプラン、接点の拡大、課題仮説に基づく提案、QBRを繰り返すことで成果が積み上がります。一方で、分析に割く人手がない、型を作っても現場に定着しないといった理由から、自社だけでは進めにくいこともあります。
株式会社Growth DXは、既存顧客のデータ分析とポテンシャル判定から、アップセル・クロスセルの「売れる型」づくり、CS・営業組織の立ち上げと内製化まで一貫して伴走します。
| こんな課題があれば | Growth DXの支援内容 |
|---|---|
| どの顧客に拡大余地があるかわからない | 既存顧客データの分析、ポテンシャル判定、重点アカウントの選定 |
| アカウントプランが形骸化している | プラン様式の設計、営業会議・QBRへの組み込み |
| アップセル・クロスセルが属人化している | 提案のきっかけとトークの型化、研修による定着 |
| CS組織がない、営業と連携できていない | CS・営業組織の立ち上げ、役割分担とKPIの設計 |
「自社の既存顧客にどれだけの拡大余地があるか知りたい」という段階でもかまいません。30分のオンライン相談で、貴社の状況をお伺いし、深耕営業の課題と打ち手を整理します。