新規事業の営業代行と既存事業の営業代行は何が違うか
新規事業の営業代行と既存事業の営業代行の最大の違いは、「売れる型がすでにあるか、これから作るか」という前提にございます。
営業代行を探すとき、比較サイトに並ぶサービスの大半は既存事業向けに設計されております。アポイント単価、稼働時間、月間商談件数といった評価軸で横並びに整理されており、その軸のまま新規事業の商材を任せると、着地が大きくずれることがございます。
違いはサービスの品質ではなく、前提にあります。既存事業の営業代行は勝ちパターンが確立している前提で実行量を買う設計ですが、新規事業ではその勝ちパターンを仮説検証によって作るところから始めなければなりません。同じ「営業代行」でも、買っているものが異なるわけです。
本記事では、5つの観点で両者の違いを整理し、営業代行とコンサルティングの使い分け、発注仕様のつくり方、契約時の論点、そしてある取り組み事例に見る3か月の活動量と成果の目安までを解説いたします。
1. 5つの観点で見る違い
新規事業と既存事業の営業代行は、前提・KPI・ターゲット・成果物・契約形態という5つの観点すべてで設計思想が異なります。
| 観点 | 既存事業の営業代行 | 新規事業の営業支援 |
|---|---|---|
| 前提 | 売れる型がある | 型を作るところから |
| 主なKPI | アポイント数・受注額 | 検証された仮説の数・型の完成度 |
| ターゲット | 既定のリストを回す | リストを作るところから |
| 成果物 | 商談・受注 | 商談+失注理由+型(営業プレイブック) |
| 契約形態 | 成果報酬が成立しやすい | 固定報酬が適する |
このうち発注後に最も大きな認識齟齬を生むのが「主なKPI」でございます。既存事業の感覚でアポイント数を唯一のKPIに据えると、支援会社は会いやすい相手に寄り、件数は達成したのに投資判断に使える情報が残らないという事態が起こります。

2. 成果の定義が違う
新規事業の営業支援では、受注に至らなかった活動も成果に数えます。
既存事業の営業代行では、受注につながらなかった活動は失敗です。一方で新規事業の検証フェーズでは、断られたこと自体は失敗ではございません。「このセグメントには予算が付かない」「その課題は既に別手段で解決されている」と判明することは、撤退・ピボット・投資継続の判断に直結する情報でございます。
この違いは契約形態の選択に直結いたします。成果報酬型では断られた情報に対価が発生しないため、失注理由を構造化して記録するインセンティブが支援会社側に働きません。新規事業で固定報酬型が適するのは、報酬を「受注」ではなく「検証の実行量と情報の質」に紐づけるためでございます。
成果報酬型が新規事業に向かない3つの理由
成果報酬型が新規事業に向かない理由は、対象のずれ・情報の欠落・単価の読みにくさの3点に集約されます。
- 対象がずれる:支援会社は単価を成立させるため会いやすい企業を優先し、検証したいペルソナから外れていきます
- 情報が残らない:断られた理由、提示価格への反応、比較検討先といった一次情報が記録されません
- 単価が読めない:アポイント課金の単価は1件3〜15万円が目安でございますが、商材の難易度やターゲットの役職によってレンジが大きく変動いたします。実績のない商材はアポイント取得の難易度が高く、レンジの上限側に寄る、あるいはそもそも受託をお断りされる水準になりがちです
成果報酬型が事業開発のフェーズで機能しにくい理由
成果報酬型は初期費用を抑えられる点が利点でございますが、事業開発のフェーズでは機能しにくい契約形態でございます。単価は1件3万円から15万円程度と幅が広く、商材の難易度やターゲットの役職によって大きく変動いたします。
機能しにくい理由は、評価指標の設計にございます。事業そのものがまだ固まっていない段階では、何が有効なアポイントで、何が無効なアポイントなのかを定義できません。定義がないまま件数で評価いたしますと、件数を満たすためのアポイントが積み上がってまいります。
事業開発で本当に必要なのは、次の一連の流れでございます。
- どのペルソナに対して検証を行うのかを決めること
- そのペルソナに対して何を確かめるのかを設計すること
- 架電や商談を通じて、狙った論点のVoCを集めること
- 集まったVoCをもとに、ペルソナ仮説を組み替えること
- PMFやPoC・初期ユーザー獲得につながるマーケットを見極めること
この流れは、アポイントが取れたかどうかでは評価できません。3番目と4番目を往復することが検証の本体であり、そこに時間をかけるほど、件数そのものは落ちてまいります。成果報酬型の指標設計とは構造的に噛み合わない、とお考えいただくのが実態に近いかと存じます。
3. 必要なスキルが違う
新規事業の営業支援で必要になるのは、売り切る力ではなく、仮説を提示して反応を引き出し、構造化して還元する力でございます。
| 工程 | 既存事業で必要なこと | 新規事業で追加で必要なこと |
|---|---|---|
| リスト作成 | 既存リストの整備 | 仮説からの領域設定とゼロからの構築 |
| アプローチ | 確立したトークの実行 | 説明資料がない状態での仮説提示 |
| 商談 | 商品説明とクロージング | 課題の深掘りと、仕様に対する意見収集(VoC) |
| 記録 | SFAへの進捗入力 | 失注理由・価格反応の構造化 |
| 還元 | 週次の件数報告 | 仮説の更新提案、セグメントの再設定 |
とりわけ差が出るのは商談の場での振る舞いでございます。新規事業の商談では、売り切ることよりも「なぜ今は導入しないのか」「誰の予算で、いつなら検討され得るのか」を引き出すほうが価値が高い場面がございます。この切り替えができるメンバーが商談に出るかどうかが、支援の質を左右いたします。選定時には、提案書の体裁ではなく「実際に商談に出る人物の経歴」と「失注理由の記録フォーマットの実物」をご確認ください。

4. Growth DXの現場から
以下は、これまでの取り組みで観測した事例でございます。すべての案件に当てはまるものではございませんが、新規事業の営業支援を実行するなかで繰り返し目にしてきた傾向として、4点ご紹介いたします。
- 最初の仮説が、3か月のうちに2回ほど書き換わるケースが少なくありません。 初期仮説のまま最後まで走った案件はほとんどなく、初月末と2か月目の中盤に、ターゲット業界か提供価値のいずれかを修正した案件がございました。
- キーマン接点の歩留まりが、延べアプローチに対して15%前後という水準だった案件がございます。 ある大手メーカー様との取り組みでは、延べ737件のアプローチからキーマン接点50件、VoCインタビュー21件、PoC 4件という結果になりました。これは1社との取り組みにおける結果であり、他の案件で同じ水準になることをお約束するものではございません。
- 「予算がない」という断り文句が、予算の不在ではなく優先順位を指しているケースが少なくありません。 深掘りすると、既存システムの更改時期や、期首の投資枠が確定するタイミングが実際の制約であったという案件が多くございました。
- 最も時間を要する工程が、商談ではなくリスト構築であった案件がございます。 ある案件では、ゼロからの対象企業リスト作成と部署・役職の特定に、初月工数の3〜4割を充てる構成といたしました。
こうした一次情報は、アポイント数だけを追う体制では蓄積されません。発注時は「何件会えたか」と同じ比重で「何が分かったか」を納品対象に含めることをお勧めいたします。
5. 営業代行・営業コンサル・人材派遣の違いと選び方
営業代行は「実行」、営業コンサルは「設計」、人材派遣は「稼働時間」を買うサービスであり、新規事業では設計と実行が一体となった体制が適しております。
| 比較軸 | 営業代行(成果報酬型) | 営業コンサルティング | 新規事業の営業支援(Growth DX) |
|---|---|---|---|
| 買うもの | アポイント・商談の件数 | 戦略・KPI設計・研修 | 仮説検証の設計と実行の両方 |
| 実行主体 | 支援会社 | 自社(支援会社は助言) | 支援会社が実行し自社へ移管 |
| 費用の形 | アポイント1件3〜15万円(商材の難易度やターゲットの役職によりレンジが大きく変動) | 月額固定(稼働人月) | 月額固定(人月ベース) |
| 残るもの | 商談機会 | 資料・方針 | リスト・スクリプト・プレイブック・VoC |
| 適する段階 | 型が確立した拡大期 | 組織課題が明確な改善期 | 型が未確立の検証期 |
営業代行とコンサルの違いで迷われた場合は、「自社に実行できる人員がいるか」で切り分けてください。設計だけを受け取っても動かす人がいなければ成果には結びつきません。逆に、すでに型が確立しており量だけが不足しているのであれば、成果報酬型の営業代行が適する場面もございます。
費用の見え方はどう違うのか
成果報酬型と固定報酬型は、同じ金額をお支払いになっても、手元に残るものが異なります。
成果報酬型で残るのは、アポイントの件数でございます。会えた相手の数が積み上がり、その件数に対して費用が発生いたします。単価は1件3〜15万円が目安でございますが、商材の難易度やターゲットの役職によってレンジが大きく変動いたしますので、事前に件数を見通すことは困難でございます。
一方、固定報酬型で残るのは、検証の材料でございます。当社ライトプラン(月60万円〜)では、対象リストの構築、アプローチの実行、キーマン接点の創出、失注理由の構造化、営業プレイブックの作成までを含みます。ここで手元に残るのは、どのセグメントに反応があり、どこで断られ、次に何を確かめるべきかという情報でございます。
つまり、比較すべきは「同じ金額で何件会えるか」ではなく、「同じ金額を使い終えたときに、次の意思決定ができる状態になっているか」でございます。型が未確立の段階では、後者を基準にご検討いただくことをお勧めいたします。
6. 発注仕様のつくり方
新規事業で営業を外部に任せる際は、検証仮説から成果物の定義まで6項目を仕様書に明記してください。
- 検証したい仮説(1文で記述する)
- 対象の定義(業界・企業規模・部署・役職と、対象企業数)
- アプローチ件数の下限(延べ何件当たるか)
- 商談記録の共通項目(業界・規模・役職・課題の有無・価格反応・断り理由)
- 月次での仮説見直しの場(誰が参加し、何を決めるか)
- 成果物の定義(リスト・トークスクリプト・営業プレイブック・分析レポート)
とりわけ3番目の「アプローチ件数の下限」は必ず入れてください。これがないと、成果が出なかったときに「市場に反応がない」のか「母数が足りていない」のかを事後に判別できず、市場性のあるテーマを誤って撤退判断してしまうリスクがございます。5番目も同様で、参加者と決定事項を定義しておかないと、報告会が件数の読み上げに終始し、仮説が更新されないまま3か月が経過いたします。
7. 契約で決めておくべきこと
契約時に決めるべき論点は、成果物の帰属・商談オーナー・内製化の段取り・期間と拡縮・機密保持の5点でございます。
- 作成物の帰属:顧客リスト・トークスクリプト・営業プレイブックを自社資産として受け取れるか
- 商談オーナー:支援会社名義で出るのか、自社名義で出るのか
- 内製化の段取り:いつ、どの工程から自社に移すのか
- 契約期間と拡縮:検証結果に応じて途中で体制を増減できるか
- 機密保持:未公開商材を扱う際のNDAの範囲と対象者
とりわけ1番目の帰属は、支援終了後の自走可否を左右いたします。外部支援はいずれ終わる前提でございますので、「何を手元に残すか」を契約時点で確定させてください。上場企業の場合は、調達規程との整合も併せてご確認いただくと稟議が滞りにくくなります。
[ここに画像を入れる:契約チェックリストのイメージ図。5つの論点をチェックボックス付きで縦に並べ、「作成物の帰属」の行に強調枠を付ける]
8. 取り組み事例に見る活動量と成果の目安
以下は、ある取り組みで置いた目標値の一例でございます。体制の置き方によって、目標として置くべき水準も変わってまいります。
なお、表中の「VoC・商談」は、実際に実施した商談・インタビューの件数でございまして、アポイント獲得数とは異なります。また、いずれの数値も月額費用から逆算したものではなく、体制と活動設計から置いた目標値でございます。
| 指標 | 体制を小さく置いた場合 | 体制を厚く置いた場合 |
|---|---|---|
| 対象企業数 | 100〜200社 | 300社以上 |
| 延べアプローチ | 300〜600件 | 900件以上 |
| キーマン接点 | 45〜90件 | 135件以上 |
| VoC・商談 | 10〜30件 | 30〜45件 |
| PoC・試験導入の打診 | 2〜6件 | 6〜12件 |
上記は、ある大手メーカー様との取り組みで置いた目標値と、その進行の目安でございます。同社との取り組みでは、延べ737件のアプローチからキーマン接点50件、VoCインタビュー21件、PoC 4件という結果になりました。あくまで1社との取り組み事例であり、Growth DXとして出せる数字の上限を示すものではございません。商材の特性、対象とする領域、ご一緒する体制によって、置くべき目標値も結果も変わってまいります。貴社のテーマに即した目標設計は、個別にご相談のうえ組み立てております。
9. Growth DXの支援内容と料金
Growth DXは、「型を作るところから内製化まで」を前提に支援を設計しております。
支援内容
支援範囲は、仮説設計からプレイブック化と内製化支援までを一気通貫で担います。
- 検証仮説とターゲットの設計
- 対象企業リストのゼロからの構築
- アウトバウンドによる接点創出と商談実行
- 失注理由・価格反応の構造化と、月次の仮説見直し
- トークスクリプト・営業プレイブックの作成
- インサイドセールス・フィールドセールスの立ち上げと内製化支援
作成物はすべて御社の資産としてお渡ししております。
料金体系
人月単価は、PM(コンサルタント)が200万円/人月、アソシエイトが80万円/人月でございます。そのうえで、以下の3プランからお選びいただけます。
| プラン | 体制イメージ | 月額 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| ライト | PM 0.1人月+アソシエイト0.5人月 | 60万円〜 | 領域を1つに絞って小さく始めたい場合 |
| スタンダード | PM 0.2〜0.25人月+アソシエイト0.5人月 | 80〜120万円 | 1テーマの検証を本格的に進める場合 |
| 拡大 | PM 0.4人月+アソシエイト1.0〜1.5人月 | 160〜200万円 | 複数領域の並行検証や、短期で量を出す場合 |
初期費用は50万円(キックオフ・商材勉強会・検証設計の費用。内容により調整いたします)、最短3か月からお受けしております。金額はすべて税別でございます。
VoC 1件あたりのコストの考え方
Growth DXの取り組みでは、VoC 1件あたりのコストに割り戻しますと、おおむね10万円から15万円、案件によっては20万円ほどになります。単価だけを見れば、インタビューの手配を請け負うサービスより割高でございます。
この差は、担っている範囲の違いによるものでございます。Growth DXでは、対象領域の設計と企業リストの構築、キーマンへの到達、インタビューの実施と分析、そこから導かれるペルソナ仮説の見直し、さらにPoC・試験導入の打診までを、一連の流れとして担っております。VoCの本数を納品することが目的ではなく、次の意思決定に使える材料を残すことを目的としているため、1件あたりに割り戻すとコストは高く出てまいります。
逆に申し上げますと、インタビューの本数だけが必要な場面では、当社よりも適した手段がございます。
無料相談でお話しすること
初回のご相談(30分・無料)では、御社の商材がすでに型を持っている段階か、まだ検証段階かを整理したうえで、適した体制と概算をお示しいたします。既存型の営業代行のほうが適していると判断した場合は、その旨を率直にお伝えいたします。
よくある質問(FAQ)
Q. 費用はどのくらいかかりますか
月額60万円〜200万円、初期費用50万円が目安でございます。領域を1つに絞るライトプランで月60万円〜、複数領域を並行検証する拡大構成で月160〜200万円です。金額はすべて税別でございます。
Q. 最短でどのくらいの期間から依頼できますか
最短3か月からお受けしております。仮説の書き換えが2回ほど発生した案件が少なくないことを踏まえますと、3か月が検証サイクルを1周させる最小単位でございます。1〜2か月ではリスト構築と初回アプローチで終わり、仮説の更新まで到達しにくいというのが、これまでの実感でございます。必要な期間は案件により異なりますので、個別にご相談ください。
Q. 成果報酬型の営業代行と何が違うのですか
支払いの対象が「アポイント件数」ではなく「検証の実行と情報の質」である点が異なります。成果報酬型はアポイント1件3〜15万円で件数を買う設計でございまして、単価は商材の難易度やターゲットの役職によってレンジが大きく変動いたします。また、失注理由や価格反応といった一次情報は記録対象に含まれません。当社は固定報酬型で、リスト・スクリプト・営業プレイブック・VoC記録を成果物としてお渡ししております。
Q. 事業開発のフェーズでも成果報酬型は使えますか
事業そのものがまだ固まっていない段階では、機能しにくいとお考えください。何が有効なアポイントで、何が無効なアポイントなのかを定義できない状態で件数を評価軸に据えますと、件数を満たすためのアポイントが積み上がってまいります。検証の本体は、狙った論点のVoCを集めることと、その結果をもとにペルソナ仮説を組み替えることの往復にございますので、件数での評価とは構造的に噛み合いません。
Q. 社内の稟議や役員説明はどう組み立てればよいですか
「アポイント数」ではなく「3か月後に何が判断できる状態になるか」を軸に組み立ててください。本記事の活動量と成果の目安(対象企業数・延べアプローチ・キーマン接点・VoC・PoC打診)は、ある取り組みで置いた目標値の一例であり、案件により置くべき水準は異なります。御社のテーマに即した目標値は無料相談時に一緒に組み立てており、稟議資料のたたき台もその場でご提示しております。
Q. 自社に専任の担当者がいなくても進められますか
専任者がいなくても進行可能でございますが、意思決定に関与される方に月2時間程度のご関与をお願いしております。月次の仮説見直しの場にご参加いただき、ターゲットの修正可否と次月の検証テーマをご決定いただく形です。実務の稼働は当社が担いますので、御社側の工数は最小限に抑えられます。
まとめ
新規事業の営業代行を選ぶ際の判断基準は、「型がすでにあるか、これから作るか」の一点でございます。
型が確立しており量だけが不足しているのであれば、成果報酬型の営業代行が適する場面もございます。一方、型そのものを検証しながら作る段階であれば、固定報酬型で、失注理由の構造化と営業プレイブックの納品まで含む体制をお選びください。発注時に、検証仮説・対象定義・アプローチ件数の下限・商談記録項目・月次見直しの場・成果物の定義という6点を仕様書へ明記いただければ、認識齟齬はほぼ解消されます。自社の商材がどちらの段階にあるか判断が難しい場合も、ぜひ一度ご相談ください。
Growth DXへのお問い合わせ
「新規商材の営業を外部に任せたいが、どこに頼めばよいか分からない」といった段階でも、ぜひご相談ください。初回相談は無料でございます。