新規事業のGTM戦略で最初に決める5つ|ターゲット・チャネル・価格・体制・KPI
GTM戦略の立て方は、「ターゲット・チャネル・価格・体制・KPI」の5つを、この順番で決め切ることに尽きます。
PoCで手応えを得て事業化に進む段階になると、「では、どう売るのか」という問いが一気に重くなります。ここでGTM(Go-to-Market)戦略を組むことになりますが、検討すべき論点が多すぎて手が止まってしまうというご相談を、私どもは月に数件いただいております。
本記事は用語解説ではなく、明日から着手できる「実際に決める手順」に振り切ってまとめております。決める順番、判断基準、頻出する判断ミス、そして最初の3か月で何を検証すべきかを、当社が支援現場で観測している実数値とあわせてご説明いたします。
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GTM戦略の立て方:最初に決める5つと、決める順番
GTM戦略で最初に決めるべきは、ターゲット・チャネル・価格・体制・KPIの5つであり、必ずこの順番で確定させてください。
5つには依存関係がございます。ターゲットが決まらなければチャネルの適否は判断できず、チャネルが決まらなければ価格の建て付けも体制も定まりません。順番を飛ばして価格表から作り始めますと、後工程で作り直しが発生いたします。
| 順番 | 項目 | 決めること | 決められないと起きること |
|---|---|---|---|
| 1 | ①ターゲット | 最初に売る相手の業界・規模・部署・役職 | 営業資料が一般論になり、商談が前に進まない |
| 2 | ②チャネル | 直販・代理店・OEMのどれで始めるか | 体制と価格の設計が定まらない |
| 3 | ③価格 | 初期提示価格と、値下げしない下限 | 値引き交渉に引きずられ、利益構造が壊れる |
| 4 | ④体制 | 誰が商談に出るか、内製か外部か | 案件が進むほど人が足りなくなる |
| 5 | ⑤KPI | 最初の3か月で見る先行指標と基準値 | 継続・撤退の判断が先延ばしになる |
決め切るまでの期間は、2週間から4週間が目安でございます。それ以上かかっている場合、原因は情報不足ではなく、「仮決めして市場で検証する」という前提が社内で共有されていないことにございます。

①ターゲット:絞りすぎと広げすぎの境目
ターゲットは、最初の6か月間は1つの業界・1つの部署に絞ってください。
新規事業のGTMでは、絞りすぎる失敗よりも広げすぎる失敗のほうが圧倒的に多くございます。「どの業界でも使えます」という訴求は、どの業界の担当者にも自分事として届きません。一方で、絞ったうえで対象企業が100社以上存在すれば、検証の母数としては十分でございます。100社を下回る場合にのみ、隣接業界への拡張を検討する順序が適切です。
ターゲット選定で使う4つの評価軸
選定は、課題の深さ・予算の存在・意思決定の速さ・参照性の4軸でスコアリングして決めてください。
- 課題の深さ:PoCや既存顧客への打診で最も反応が強かった層か
- 予算の存在:その課題に対して、すでに人件費や外注費を支出しているか
- 意思決定の速さ:稟議の承認階層が浅く、部長決裁で試験導入まで進むか
- 参照性:その業界での導入実績が、他社への横展開に効くか
4軸を各5点で採点し、合計15点以上のセグメントを第一候補とする運用が最も回っております。特に「予算の存在」は軽視されがちですが、予算科目が存在しない課題は、いくら深刻でも初年度の受注にはつながりません。

②チャネル:直販か代理店か
新規事業の立ち上げ期は、原則として直販から始めてください。代理店は、直販で「売れる型」を作った後の拡大手段でございます。
| チャネル | 適する条件 | 立ち上がり速度 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 直販 | 単価が高い、説明が難しい、仮説検証が必要 | 速い(1〜2か月) | 自社の営業工数がそのまま上限になる |
| 代理店 | 既存商流が強い、単価が中程度、型が確立済み | 遅い(6か月〜) | 型がない段階では代理店が動けない |
| OEM・組み込み | 部品・素材・技術提供型 | 遅い(6〜12か月) | 価格主導権を失いやすい |
よくある判断ミスは、自社の営業リソースがないことを理由に、最初から代理店チャネルを選ぶことでございます。代理店は「売れる型」がある商材しか扱えません。型がない段階では、取扱契約は結んでいただけても実際には動いていただけません。推奨する順番は、直販で型(トークスクリプト・想定問答・受注事例)を作り、それを持って代理店展開に移る流れでございます。
③価格:最初に高く出すか安く出すか
新規事業の初期価格は、高めに出してください。下げるのは容易ですが、上げるのは極めて困難でございます。
理由は3つございます。第一に、一度提示した価格は社内外の基準値として残ります。第二に、断られた理由が価格なのか価値なのかを切り分けられます。第三に、安すぎる価格は「その程度の価値」と受け取られ、課題の深さを測る手段そのものを失います。
価格受容性を検証する具体的な進め方
価格帯を2〜3パターン用意し、対象セグメントを分けて提示してください。反応の差が、そのまま価格受容性の一次データになります。
あわせて、値下げしない下限を事前に決めておいてください。最初の案件欲しさに大幅な値引きをいたしますと、その価格が社内の基準値となり、後から戻せなくなります。下限は「原価割れしない水準」ではなく、「その価格で100社に売っても事業として成立する水準」で設定してください。
Growth DXの現場から
以下は、これまでの取り組みで観測した事例でございます。すべての案件に当てはまるものではございませんので、ご参考としてお読みいただければ幸いでございます。
- 価格提示のタイミング:初回商談で概算価格を提示した案件のほうが、第2回以降に持ち越した案件よりもPoC打診までの到達が速かったというケースが少なくありません。価格を伏せたまま進めた案件では、社内稟議の入口に立つのが遅れることがございます。
- 失注理由の内訳の一例:ある案件では、初期段階で価格が失注理由となったのは全体の3割程度でした。残る7割は「今期の優先順位ではない」「課題は認識しているが担当部署が決まっていない」という、タイミングと社内体制の問題でございました。
- キーマン到達までの接触回数:ある案件では、決裁権のある部長職以上に到達するまでに、1社あたり3回前後の接触を要しました。1回のアプローチで反応がないことを理由にリストから外す運用は、機会損失につながるおそれがございます。
- ある取り組みでの活動量:ある大手メーカー様との取り組みでは、延べ737件のアプローチから、キーマン接点50件、VoCインタビュー21件、PoC 4件という結果になりました。あくまで1社との取り組み事例であり、当社として出せる数字の上限を示すものではございません。

④体制:誰が売るのか
体制は、最初の10件までは事業オーナーが自ら商談に出たうえで、その後に内製か外部支援かを選択してください。
| 体制 | 適する場面 | 課題 |
|---|---|---|
| 事業オーナーが自ら売る | 最初の10件まで | すぐに工数が上限に達する |
| 既存営業部門に依頼 | 既存顧客層と重なる場合 | 既存商材のKPIが優先され後回しになる |
| 外部の実行支援を使う | 新しい業界・新しい顧客層に入る場合 | 型を自社に残す設計が必要 |
| 専任チームを採用 | 受注の型が見えた段階 | 採用と立ち上げに3〜6か月かかる |
実務で最も多いのは、既存営業部門に依頼して優先度が上がらずに止まるパターンでございます。既存営業のKPIは既存商材の数字ですので、担当者の意欲ではなく構造上の問題です。新規テーマ専用の工数を別枠で確保するか、外部を使うかのいずれかが必要になります。外部を使う場合は、トークスクリプト・営業プレイブック・ターゲットリスト・VoC記録を自社資産として受け取る契約にしてください。
⑤KPI:最初の3か月で何を見るか
最初の3か月のKPIに売上を置くと、判断を誤ります。見るべきは、アプローチ数・キーマン接点・VoC・PoC打診という先行指標でございます。
売上は商談から受注までのリードタイムの後ろにございますので、3か月で売上が立たないことは失敗ではなく当然の結果です。判断すべきは「型ができつつあるか」であり、それを表すのが以下の先行指標でございます。
なお、先行指標の基準値は、貴社のテーマに合わせて自社で置き直していただくものでございます。次の表は、ある取り組みで置いた目標値と、その進行の目安の一例でございます。そのまま目指していただく水準ではなく、自社で数字を置き直す際のたたき台としてご活用ください。
取り組み事例に見る活動量と成果の目安
| 指標 | 体制を小さく置いた場合 | 体制を厚く置いた場合 |
|---|---|---|
| 対象企業数 | 100〜200社 | 300社以上 |
| 延べアプローチ | 300〜600件 | 900件以上 |
| キーマン接点 | 45〜90件 | 135件以上 |
| VoC・商談 | 10〜30件 | 30〜45件 |
| PoC・試験導入の打診 | 2〜6件 | 6〜12件 |
上記は、ある大手メーカー様との取り組みで置いた目標値と、その進行の目安でございます。同社との取り組みでは、延べ737件のアプローチからキーマン接点50件、VoCインタビュー21件、PoC 4件という結果になりました。あくまで1社との取り組み事例であり、Growth DXとして出せる数字の上限を示すものではございません。商材の特性、対象とする領域、ご一緒する体制によって、置くべき目標値も結果も変わってまいります。貴社のテーマに即した目標設計は、個別にご相談のうえ組み立てております。
あわせて、失注理由の分布を必ず記録してください。価格が理由なら価格設計を、価値が理由なら訴求とターゲットを、タイミングが理由なら対象業界そのものを見直すことになります。この分布が、次の3か月の打ち手を決める材料になります。
GTM戦略で頻出する判断ミス3つ
判断ミスは、「全部決めてから動く」「代理店から始める」「売上をKPIに置く」の3つに集約されます。
- 全部決めてから動く:5項目を完璧に埋めてから市場に出ようとしますと、初回アプローチまで半年かかります。仮決めして2週間で市場に当て、返ってきた反応で更新する運用に切り替えてください。
- 代理店から始める:型がない段階の代理店開拓は、契約締結という見かけの進捗を生むだけで、実売にはつながりません。
- 売上をKPIに置く:3か月で売上を求めますと、値引きによる無理な受注に走り、価格の基準値を自ら壊すことになります。
いずれも、社内の報告フォーマットが既存事業のまま流用されていることが根本原因でございます。新規事業には、新規事業用の評価指標を別途ご用意ください。
Growth DXのGTM支援と料金
Growth DXは、GTM戦略の設計だけでなく、実際に売って検証するところまでを一気通貫でご支援いたします。
支援内容
- ターゲットセグメントの選定と優先順位付け(4軸スコアリング)
- 価格帯の設計と、実提示による価格受容性の検証
- チャネル戦略の設計(直販・代理店の順番と移行時期の判断)
- インサイドセールス・フィールドセールスの立ち上げと実行
- トークスクリプト・営業プレイブックの作成と内製化支援
- VoCインタビューの設計・実施と、商品仕様へのフィードバック
- 代理店戦略の設計と開拓
戦略の提言で終わらせず、実際にアプローチを行い、キーマンと会い、価格を提示するところまで当社が担います。
料金体系
人月単価は、PM(コンサルタント)が200万円/人月、アソシエイトが80万円/人月でございます。そのうえで、以下の3プランからお選びいただけます。
| プラン | 体制イメージ | 月額 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| ライト | PM 0.1人月+アソシエイト0.5人月 | 60万円〜 | 領域を1つに絞って小さく始めたい場合 |
| スタンダード | PM 0.2〜0.25人月+アソシエイト0.5人月 | 80〜120万円 | 1テーマの検証を本格的に進める場合 |
| 拡大 | PM 0.4人月+アソシエイト1.0〜1.5人月 | 160〜200万円 | 複数領域の並行検証や、短期で量を出す場合 |
初期費用は50万円(キックオフ・商材勉強会・検証設計の費用。内容により調整いたします)、最短3か月からお受けしております。金額はすべて税別でございます。
無料相談でお話しすること
初回のご相談(30分・無料)では、5項目のうちどこが決まっていて、どこが未定かを整理するところから始めます。
そのうえで、貴社の商材とターゲット領域を踏まえた最初の3か月のKPI案と、適したプランの概算費用をお示しいたします。この場でご契約をお願いすることはございません。社内検討の材料としてお持ち帰りいただく形で構いません。
よくある質問(FAQ)
Q. 費用はいくらかかりますか
月額60万円から200万円の範囲で、これに初期費用50万円が加わります。
領域を1つに絞って始める場合は月額60万円からのライトプラン、複数領域を並行検証する場合は月額160〜200万円の拡大プランが目安でございます。金額はすべて税別です。
Q. 支援期間はどのくらい必要ですか
最短3か月からお受けしておりますが、判断材料が揃うまでにはその3か月を要します。
ある取り組みでは、1か月目はリスト作成とアプローチ設計、2か月目からキーマン接点とVoCが積み上がり、3か月目にPoC打診が出始めるという進み方でした。事例としてはこの程度の進行でしたが、商材や対象領域によって進み方は案件ごとに異なります。いずれの場合も、この期間で得られた事実をもって継続・拡大・撤退をご判断いただく設計にしております。
Q. 他のコンサルティング会社との違いは何ですか
戦略の設計だけでなく、実際にアプローチして商談に出るところまでを当社が実行する点が違いでございます。
提言書の納品で終わらせず、案件によっては延べ数百件規模のアプローチを回し、キーマンと会い、価格を提示して反応を取得いたします。件数や期間は、商材と対象領域によって案件ごとに異なります。そのうえでトークスクリプトや営業プレイブックを貴社資産としてお渡しし、内製化まで見据えた設計にしております。
Q. 社内への説明材料としてどう使えばよいですか
本記事の5項目と先行指標の表を、そのまま社内の検討フォーマットとしてご利用いただけます。
新規事業の投資判断で最も揉めるのは、売上が立たない期間の評価基準でございます。先行指標を事前に合意しておくことで、3か月後の議論が「売れたか否か」ではなく「型ができたか否か」に変わります。
Q. 自社にリソースがなくても始められますか
始められます。事業オーナーの方が商談に同席いただける工数さえ確保できれば、それ以外の実行は当社が担います。
リスト作成、アプローチ、日程調整、議事録作成は当社側で巻き取る前提で設計しております。事業オーナーの方には商談での意思決定と、VoCから得た示唆の社内展開にご注力いただく形が、成果につながりやすいと考えております。
まとめ
GTM戦略の立て方は、ターゲット・チャネル・価格・体制・KPIの5つを、この順番で2〜4週間のうちに仮決めし、市場の反応で更新し続けることに尽きます。
5つが決まれば、残りの論点はその下にぶら下がってまいります。逆に、どれかが未定のまま走り出しますと、営業資料も価格表も体制も後で作り直すことになります。現時点で3つ以上が未定であれば、社内だけで決め切ろうとせず、市場に当てながら決める進め方をご検討ください。私どもは、その「市場に当てる」部分を実行ごとお引き受けしております。
Growth DXへのお問い合わせ
「PoCは進んだが売り方が決まらない」「営業体制をどう立ち上げるか迷っている」といった段階でも、ぜひご相談ください。初回相談は無料でございます。